私は、かつて(2009年の4月から11月)にパパイヤを栽培し、青パパイヤの収穫まで実現させたことがあります。
これまでに多くの質問が寄せられ、一つ一つに丁寧にお答えさせていただいておりますが、回答が重複し始めているので、こちらのページでまとめ直すことにしました。
栽培環境を教えてください
私は路地栽培で約120株(雌雄の判別不明)を、2000坪程の畑に植え付けました。写真のような感じです。土は砂っぽい感じで、水はけは比較的良好です。
栽培地を具体的に教えてください
東海地方(愛知・岐阜・三重)の平野部です。
海岸にも山にも極端に隣接していない地域です。プライバシーポリシーの観点から、これ以上の栽培所在地はお伝えできません。夏は酷暑になりますし、冬は山脈からの冷たい風が吹きます。
栽培はやっぱり温室でしょうか
いいえ。完全に屋外です。
実際私は、露地栽培で収穫まで実現しました。思い切った栽培方法だと思いますが、思い切りは大切です。
ただ、果物としてのパパイヤを収穫したいのであれば、温室は必須。温室といっても冷暖房完備で、年間通してパパイヤにとって適切な温度管理のできる施設が必要でしょう。これは、私の経験街のお話ですので、詳細なアドバイスはできません。
また、最低気温が5度以下になると枯れます。
パパイヤは熱帯地方が原産地の作物ですので、原産地の気候や土壌の特性を加味してあげると、果実も落果することなく成長してくれると思います。
- 湿度:60%程度
- 土壌:酸性質
- 気温:27度〜30度
越冬はやっぱりできないんですよね
通常パパイヤは越冬できません。5度以下になると枯れます。
しかし、私が2009年に栽培した当時は、夏の暑さが10月下旬まで続き11月も比較的温暖であったため、12月中旬まで持ちこたえてくれました。奇跡です。ただ、この奇跡はいつまでも続くわけでもなく、最終的には越冬できず、12月下旬に見事に枯死しました。
葉も黄色く、樹勢も衰えているので本来のパパイヤからはほど遠い状態ですが、雪の中にそびえ立つ熱帯植物の姿に感動したのを強く覚えています。
鉢植え栽培は可能ですか
鉢植え栽培はできますが、失敗するリスクが高まります。
私の経験談ですが鉢植え栽培すると「根詰まり」の状態になってしまい、パパイヤの生長がある時点で止まってしまいます。ですので、できるだけ大きな鉢を用意することをお勧めします。
ちなみに、私は15号サイズの鉢まで実験的に栽培しましたが、すべて失敗しました。
肥料は何を使えば良いですか
熱帯果実への施肥は、他の野菜や作物と同様の手法で構いません。
私は、植え付け時に元肥として鶏糞、野菜用の化成肥料を適量投入。実がつき始めた頃に株元に緩行性の化成肥料を2回施肥しています。
大きくなりすぎるパパイア、どうしたらいいですか
植物の基本的な性質を利用した剪定(枝を切ること)の方法を施せば良いと思います。
主枝、側枝の生育上の関係をうまく利用します。
主枝(幹となる茎)を切ると、側枝(要するに脇の枝)の勢力が強まり伸びてきます。主枝がある程度の長さまで伸びてきたら、バッサリ切ってしまい伸びてくる複数の側枝を自分の都合のいい形に仕立てていきます。
花が咲くのですが、結果しません。受粉はどうしていますか
2000坪程の畑で、風通しも良かったため受粉作業は行っておりません。また、栽培していた個体数も多く、そこまで管理できなかったという事情もあります。
ですので、自然媒介(風、ハチ、アリ)による受粉のみです。
ちなみに栽培管理中に、ハチは目撃しました。
実付きが悪いのですが、どうしたら良いですか
私が栽培した当時も結実した株は、全体の6割程度でした。これは私が栽培したパパイヤの品種が雌雄異株だったためと考えています。結実数は1株当たり2~3個でした。
ただ、私の場合敷地内に100株以上植え付けるところからスタートし、間引きを行いながら50株程栽培しましたので、収穫できた果実は大小合わせると家庭では消費できないほどの量でした。あまりにも量が多かったので周囲の方から「話題の畑」となってしまったのは内緒です。
雄株、雌株の見分け方を教えてください
私も、手探りで始めたパパイヤ栽培ですので、正直なところ雌雄の見分けはよくわかりません。
ただ、気温、地温などの栽培環境で結実に少なからずの影響は出ました。120株植えた経験で言うと半数程の株だけ結実し、残りは実がつかず成長した株と枯れていく株に分かれました。
質問は随時受け付けております
実際の栽培状況などの詳細はこちらの記事を見ていただき、私の栽培状況などを知ってもらった上でご質問いただけると幸いです。
コメント
お忙しいところいくつか質問をすいません。
1. パパイヤの根っこは地植えの場合すごく張り巡りますか?
2. それを処理や抜く場合は、どのような方法がありそうでしょうか?
3. 果樹を切り株状態に切断した場合、来年はその切断したところより新芽が出て、また果樹に育つのでしょうか?それともそのような株は引き抜き新しい苗木の植え直しになるのでしょうか?
いくつも質問申し訳ございませんですが、宜しくお願いいたします。
>> 3WAYさん
コメントありがとうございます。早速質問にお答えします。
1:パパイヤは温暖な気候であればとても成長の早い植物の一つです。成長速度の速い草丈をしっかり支えるための根が張り巡ります。どの程度の根塊になるかは栽培条件によって異なりますが、果樹として考慮した取り扱いが望ましいと思います。
2:パパイヤの移植はお勧めしません。10号程度の植木鉢から畑への植え替えを行ったことがあるのですが、根を傷めた際の影響が強く出ました。ポット苗(3号〜4号程度)のサイズであれば、移植時に根をそれほど傷めないため、枯死することはありません。
3:熱帯気候の環境下であれば、株に残っている成長点から新芽が出る可能性はあります。実際、私が熱帯地方で暮らしていた頃は、倒木状態のパパイヤから芽が出ているのを見かけました。しかしながら、日本には冬があります。パパイヤは10度以下の環境下では成長できません。よって越冬できないので、株を残したとしても新芽が出る可能性は皆無でしょう。
上記の内容は、私の経験に基づく回答ですので、もちろん例外はたくさんあります。パパイヤは熱帯植物でありながらも、工夫次第で越冬させることができたという報告も受けています。まずはいろいろトライしてみてください。
お世話になっております、お忙しいところ突然の質問にとても丁寧にお答えいただきましてとても参考になりました、誠にありがとうございます。当知人が栽培挑戦検討中の段階でして、とても嬉しく思っております。
パパイヤの花が開花前に落下します。原因は何か知りたいです。
>> 土屋さん
コメントありがとうございます。
パパイヤの花が開花前の蕾の状態で落下してしまう原因ですが、生育環境に起因する生理現象であると推測できます。
一般的に、花が蕾の時点で落下する要員として、肥料成分のバランスが崩れている、日照不足、水切れ、鉢植えであれば根詰まりなどが考えられます。まずは土屋さんが管理されているパパイヤがどういった状況なのか客観的に観察されてはいかがでしょうか。
観察の際、パパイヤは熱帯植物であることを強く念頭に置いてください。具体的には日射量、気温、土壌温度などに気をつかうと言うことです。
様々なことが推測できますが、詳細がわからないので、私からお伝えできることは以上です。